~踏んではいけない地雷~
出版社時代に僕が編集広告統括をしていた頃、僕の媒体は△△印刷で印刷していて、そこに✕✕屋という紙の卸しが入っていた。なんでもうちと古い付き合いらしいが、紙の卸しと古い付き合いって意味不明だが。(通常、紙は印刷会社が直接卸より仕入れる)
印刷コストを△△印刷と見直す際に、紙の値段が高いので、素材と仕入先を変えたら、品質を落とさずコストダウンが可能だったので、仕入れ先を変えるように指示した。そうしたら、✕✕屋のじじぃの顧問が出てきて、△△印刷の営業担当に圧力を掛けたみたいで、報告があった。「誰の指示やねん! うちと版元の付き合い、わかっとんのか! 専務は了解してんのか!」みたいな感じらしい。専務とはうちの出版社の専務ね。
自分で言うのも何だけど当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの編集広告統括の僕、専務や常務とは別に関わりがなかったが完全に一目置かれており(厄介だから)、しかも代表取締役社長と取締役総務部長が僕のバックに付いていた。怒り狂った僕は、即刻本件を社長と協議し、バックマージンや袖の下、接待を含めた実態調査 及び コストダウンと古い付き合いのどちらが有益なのか、専務に説明をさせるように求めた。
結果、専務は雲隠れして逃げていき、即座に✕✕屋のじじぃと、営業担当と、誰か知らん上司がノーアポで謝罪に来た。じじぃ共は90度直角のお辞儀をしていたが、腹わたが煮えくり返っていた僕は、完全に無視して総務部長に後を任せた。
それ以来、うちの出版社と✕✕屋の付き合いは無くなった。紙の卸しなんて、腐るほどあるので、わざわざ高い先を使う必要は一切ない。これが原因かは不明だけど、そのうち専務も退職する事になった。
~すごーい営業マン~
これまた出版社時代初期の頃だけど、僕がまだ営業だった時代に、○◯印刷の○◯さんが営業に来た。一つ下の若手だけど、この方が非常に凄かった。
何でもライバル会社の△△印刷の営業拠点に張り付き、各営業マンを追跡して、その行き先にアタックを掛けるというハイエナ戦法! 君は忍びか! 流石に聞いたことないド根性営業。トークも面白いし、値段にも品質にも自信があるとの事でしたが、現状では△△印刷に不手際はなかったので変える事はありませんでした。
数年が経過し、僕が編集長の時代。△△印刷の優秀な女性営業担当が関連会社へ出向(栄転)し、無能なやる気のない男性に変更となり、全く使えなくなった。散々の是正勧告に対しても、「僕は余暇・プライベートを大切にすると決めているんです!」というおっさん。
確かにうちみたいな出版社の担当になると、校了前はお互い24時間体制での対応となり、ギリギリの進行を強いられるので、辛いのはわかるし担当したくないのも透けて見える。曰く、何やら離婚などがあり、もう仕事したくないらしい・・・知らんがな! △△印刷に対して、担当を戻す事や変更する事も打診はしましたが、叶わず。
そこで、○◯印刷の○◯さんに本件を相談した。気持ち良い回答で全ての是正可能 及び 見積もりも10%程度安かった。そこで△△印刷にも説明を行い、スムーズに印刷会社を変更した。○◯印刷はその後も期待に応えてくれて、校了前はお互い男祭り状態で仕事をしてくれた。○◯さんは、そのうち功績もあり北海道へ栄転となったが、後任の□□さんもしっかりしていた。
僕が出版社を去り、色んな会社へ転職しても、何となく○○印刷のメンバーとは繋がっており、○○さんは現在支社長になっている。そして当法人の封筒、名刺、その他諸々の印刷物は、今でも全てを○○印刷にお願いしている。もちろん、担当は□□さんだ。
~手法が真逆の同僚~
出版社時代の同僚の話。彼とは良きライバルとして、別々の媒体を実質統括している間柄だった。年間売上高や利益率も拮抗しており、否が応でも意識はしていた。
そんな彼の営業手法は、兎に角足で稼ぐスタイル。毎日毎日、始発電車で出社し、9時までに事務作業を終えて、9時から外回り、夕方18時前後に戻り、19時には退社する感じ。総務部長も7時半には出社してたけど、彼には敵わん言うてました。当時も多分現在も、出版社は夜型の勤務体制が主流の時代に、早朝スタイルを貫くやり方には感心しました。
そして、どんな営業回りをしているかというと、特に自ら提案する訳ではなく、色々なクライアント先を片っ端から定期的に回るそうです。そのなかで、相手先から相談を受けるとか、取材されたいなどの希望を聞くなど受動的に行い、その案件を持ち帰り編集部と擦り合せを行う。そしてタイアップ広告や特集への協賛などに繋げるのですが、彼が統括なので編集部全員が部下みたいなものです。これを勤務日に毎日毎日欠かさず続けるのです。
実際、レセプションパーティなどへ一緒に行くと、彼の顔の広さに驚かされました。ほんと色んな方々が挨拶に来て、その殆どの方の名前を覚えているんです。ああ、〇〇さん! この前の企画どうでした? とかスムーズに楽しく話していました。対して、僕は人の名前を覚えるのが昔から苦手で、挨拶されても大体誤魔化します!
僕の営業手法は、企画やスキームありきで動く人間なので、ターゲット・企画内容・値段・効果見込み・営業話法などを確立した上で、基本的に複数の広告代理店と行動していて、直営業は滅多にしませんでしたが、彼はその真逆。それで成果はほぼ同列なので、営業手法に正解はないね。
お互いライバルだったし、全くタイプが違ったので、付かず離れずの関係だったけど、彼の方が先に退職となり、担当していた媒体は一気に低迷していった。時代もあったかもしれないけど、あの営業手法は普通真似できるものじゃないし、彼あってこその媒体だった。
そんな彼は現在、知らぬものはいないインターネット大手に在籍しており、相変わらずの営業活動をしているそうです。
営業と一口に言っても手法は千差万別。
ひとつだけ言えるのは、日々頑張っていた方は現在においても活躍していますね。