小ネタシリーズ②


~踏んではいけない地雷~

出版社時代に僕が編集広告統括をしていた頃、僕の媒体は○日本印刷で印刷していて、そこに○○屋という紙の卸しが入っていた。なんでもうちと古い付き合いらしいが、紙の卸しと古い付き合いって意味不明だが。(通常、紙は印刷会社が直接卸より仕入れる)

印刷コストを○日本印刷と見直す際に、紙の値段が高いので、素材と仕入先を変えたら、品質を落とさずコストダウンが可能だったので、仕入れ先を変えるように指示した。そうしたら、○○屋のじじぃの顧問が出てきて、○日本印刷の営業担当に圧力を掛けたみたいで、報告があった。「誰の指示やねん! うちと版元の付き合い、わかっとんのか! 専務は了解してんのか!」みたいな感じらしい。専務とはうちの出版社の専務ね。

自分で言うのも何だけど当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの編集広告統括の僕、専務や常務とは別に関わりがなかったが完全に一目置かれており(厄介だから)、しかも代表取締役社長取締役総務部長が僕のバックに付いていた。怒り狂った僕は、即刻本件を社長と協議し、バックマージンや袖の下、接待を含めた実態調査 及び コストダウンと古い付き合いのどちらが有益なのか、専務に説明をさせるように求めた。

結果、専務は雲隠れして逃げていき、即座に○○屋のじじぃと、営業担当と、誰か知らん上司がノーアポで謝罪に来た。じじぃ共は90度直角のお辞儀をしていたが、腹わたが煮えくり返っていた僕は、完全に無視して総務部長に後を任せた。

それ以来、うちの出版社と○○屋の付き合いは無くなった。紙の卸しなんて、腐るほどあるので、わざわざ高い先を使う必要は一切ない。これが原因かは不明だけど、そのうち専務も退職する事になった。

~すごーい営業マン~

これまた出版社時代初期の頃だけど、僕がまだ営業だった時代に、○川印刷の○津さんが営業に来た。一つ下の若手だけど、この方が非常に凄かった。

何でもライバル会社の○日本印刷の営業拠点に張り付き、各営業マンを追跡して、その行き先にアタックを掛けるというハイエナ戦法! 君は忍びか! 流石に聞いたことないド根性営業。トークも面白いし、値段にも品質にも自信があるとの事でしたが、現状では○日本印刷に不手際はなかったので変える事はありませんでした。

数年が経過し、僕が編集長の時代。○日本印刷の優秀な女性営業担当が関連会社へ出向(栄転)し、無能なやる気のない男性に変更となり、全く使えなくなった。散々の是正勧告に対しても、「僕は余暇・プライベートを大切にすると決めているんです!」というおっさん。

確かにうちみたいな出版社の担当になると、校了前はお互い24時間体制での対応となり、ギリギリの進行を強いられるので、辛いのはわかるし担当したくないのも透けて見える。曰く、何やら離婚などがあり、もう仕事したくないらしい・・・知らんがな! ○日本印刷に対して、担当を戻す事や変更する事も打診はしましたが、叶わず。

そこで、○川印刷の○津さんに本件を相談した。気持ち良い回答で全ての是正可能 及び 見積もりも10%程度安かった。そこで○日本印刷にも説明を行い、スムーズに印刷会社を変更した。○川印刷はその後も期待に応えてくれて、校了前はお互い男祭り状態で仕事をしてくれた。○津さんは、そのうち功績もあり北海道へ栄転となったが、後任の○田さんもしっかりしていた。

僕が出版社を去り、色んな会社へ転職しても、何となく○川印刷のメンバーとは繋がっており、○津さんは現在支社長になっている。そして当法人の封筒、名刺、その他諸々の印刷物は、今でも全てを○川印刷にお願いしている。もちろん、担当は○田さんだ。

~手法が真逆の同僚~

出版社時代の同僚の話。彼とは良きライバルとして、別々の媒体を実質統括している間柄だった。年間売上高や利益率も拮抗しており、否が応でも意識はしていた。

そんな彼の営業手法は、兎に角足で稼ぐスタイル。毎日毎日、始発電車で出社し、9時までに事務作業を終えて、9時から外回り、夕方18時前後に戻り、19時には退社する感じ。総務部長も7時半には出社してたけど、彼には敵わん言うてました。当時も多分現在も、出版社は夜型の勤務体制が主流の時代に、早朝スタイルを貫くやり方には感心しました。

そして、どんな営業回りをしているかというと、特に自ら提案する訳ではなく、色々なクライアント先を片っ端から定期的に回るそうです。そのなかで、相手先から相談を受けるとか、取材されたいなどの希望を聞くなど受動的に行い、その案件を持ち帰り編集部と擦り合せを行う。そしてタイアップ広告や特集への協賛などに繋げるのですが、彼が統括なので編集部全員が部下みたいなものです。これを勤務日に毎日毎日欠かさず続けるのです。

実際、レセプションパーティなどへ一緒に行くと、彼の顔の広さに驚かされました。ほんと色んな方々が挨拶に来て、その殆どの方の名前を覚えているんです。ああ、〇〇さん! この前の企画どうでした? とかスムーズに楽しく話していました。対して、僕は人の名前を覚えるのが昔から苦手で、挨拶されても大体誤魔化します!

僕の営業手法は、企画やスキームありきで動く人間なので、ターゲット・企画内容・値段・効果見込み・営業話法などを確立した上で、基本的に複数の広告代理店と行動していて、直営業は滅多にしませんでしたが、彼はその真逆。それで成果はほぼ同列なので、営業手法に正解はないね。

お互いライバルだったし、全くタイプが違ったので、付かず離れずの関係だったけど、彼の方が先に退職となり、担当していた媒体は一気に低迷していった。時代もあったかもしれないけど、あの営業手法は普通真似できるものじゃないし、彼あってこその媒体だった。

そんな彼は現在、知らぬものはいないインターネット大手に在籍しており、相変わらずの営業活動をしているそうです。


営業と一口に言っても手法は千差万別。
ひとつだけ言えるのは、日々頑張っていた方は現在においても活躍していますね。

スポンサーリンク